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大阪高等裁判所 平成6年(行コ)46号 判決 1996年2月16日

神戸市中央区熊内町五丁目六番一号

控訴人

西山勇

右訴訟代理人弁護士

林田崇

横井貞夫

神戸市中央区中山手通二丁目二番二〇号

被控訴人

神戸税務署長 藤本清一

右指定代理人

一谷好文

田中實

安達康夫

西野康二

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一控訴の趣旨

一  原判決を取り消す。

二  被控訴人が、控訴人の昭和五九年分所得税の更正の請求に対して、昭和六一年九月二四日付けでした更正をすべき理由がない旨の通知処分を取り消す。

三  被控訴人が、昭和六〇年七月九日付けでした控訴人の昭和五七年分、同五八年分及び同五九年分の所得税の過少申告加算税(ただし、同日付けでされた重加算税のうちの過少申告加算税相当額を含む。)の各賦課決定処分を取り消す。

第二事案の概要

次のとおり補正するほかは、原判決「第二 事案の概要」欄記載のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決三枚目裏二行目の「通知処分」の次に「(以下「本件通知処分」という。)」を加え、六枚目表一、二行目の「六九八六万二三六〇円」を「七〇八一万二八〇〇円」に、同三、四行目の「三五〇〇万九八二三円」を「三五九六万〇二六三円」に、同五、六行目の「七九六万三七七八円」を「八九一万四二一八円」に、同七行目の「七八六万三七七八円」を「八八一万四二一八円」に改める。

二  六枚目裏九行目の「即断」を「速断」に、同一〇、一一行目の「本件修正申告は取り消されるべきである」を「昭和五九年分の修正申告は(減額)更正がされるべきであるから、更正すべき理由がないとした本件通知処分は取り消されるべきであり、また、本件修正申告をもとにされた本件賦課決定処分も取り消されるべきである」に改める。

第三判断

次のとおり補正するほかは、原判決「第三 争点に対する判断」欄記載のとおりであるから、これを引用する。

一  一五枚目裏六行目の「証人岡崎恵三」の前に「乙第四号証及び」を加え、同九行目の「内偵調査に訪れた」を「同僚と二人で行って飲食し、飲食代金一万五九〇〇円を支払った」に改め、同一〇行目の「高取」の前に「、控訴人が前に税務調査を受けて修正申告をした際調査等に立ち会った神戸市大衆商業協同組合の職員で、控訴人の本件係争年分の確定申告の記帳代行もしていた」を加え、一六枚目裏七行目の「記帳」を「売上日計帳等」に改め、一七枚目表三行目の「銀行で判明した」の次に「不審な預金の資金出所や、」を加え、同行の「存在場所」を「保管場所」に改め、同四行目の「原告は」の次に「、これらについてははっきりした回答をしないままに」を加え、同五行目の「修正申告をしたい旨を述べ」の次に「、調査の打切りを求め」を加え、同裏二行目の「原告本人尋問の結果」の前に「原審における」を加える。

二  二〇枚目裏一行目の「原告の住所、氏名を書き込んで押印した」を「署名押印した」に、同八行目の「記帳補助者」を「記帳代行者」に改める。

三  二二枚目表四行目の「即断」を「速断」に改め、同裏五行目の「七九六万三七七八円」を「八九一万四二一八円」に改め、同九行目の「また、」から二三枚目表五行目末尾までを「すなわち、昭和五九年分に付いてみると、控訴人は、八九一万四二一八円の所得から所得税(予定納税額を含む。)を二三九万三五〇〇円(乙第二号証の一、甲第一九号証の三の二)、住民税を七七万八八〇〇円、国民金融公庫借入金元本返済額として三四九万九二〇六円(乙第四四号証、甲第七号証)、社会保険料四二万五九四〇円、生命保険料二四万円(乙第三号証の一)の合計七三三万七四四六円をそれぞれ支払ったことになり、残額は一五七万六七七二円で、そこから控訴人の主張する月額七〇万円の生活費を捻出することは不可能である(なお、この点の被控訴人の主張・立証が時機に遅れているとの控訴人の主張は採用しない。)。」に、二四枚目表四行目の「被告が」から同五、六行目の「按分したことをもって、」までを「控訴人の無記名預金及び仮名預金に相当する額を本件係争各年分に按分した」に改める。

四  二四枚目裏六行目冒頭から二五枚目裏一行目末尾までを次のように改め、同二行目の「(二)」を「3」に、同九行目の「3」を「4」に改める。

「2 控訴人は、控訴人や従業員が客が飲食した都度作成した「お会計票」の本件各係争年分全部をもとに税理士大崎克巳が作成したとする甲第二六ないし二八号証の各1ないし12(以下「課税計算書」という。)を提出し、この課税計算書により本件各係争年分の控訴人の売上実額を主張しているが、次の理由により、右課税計算書により控訴人の売上を認定することはできない。

(一)  前記のとおり、岡崎が昭和六〇年五月二二日に控訴人の店で同僚と二人で飲食した際の「お会計票」が同年五月三〇日の税務調査の際に存在していなかったが、このことは、控訴人が売上のすべてを網羅した「お会計票」を作成ないし保存していないことを疑わせるものである。

(二)  また、控訴人は、税務調査の際、岡崎に対し一見客の現金売上を抜いたことを認めており(証人岡崎恵三の証言)、このことからも、控訴人は、現金客の売上についての「お会計票」を一部作成ないし保存していなかったことが推認できる。

(三)  このように、大崎税理士が調査したとする「お会計票」には、控訴人の本件係争年分の売上の一部が抜けていたものと認められることから、その信憑性に疑念があり、課税計算書によって控訴人の売上を認定することはできない。」

第四結論

よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がない。

(裁判長裁判官 中川敏男 裁判官 小田耕治 裁判官 森本翅充)

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